NIST REFPROPについて
1. REFPROP要約
NIST REFPROP(Reference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Database)は、米国国立標準技術研究所(NIST)が開発した、流体および混合流体の熱物性を高精度で計算するための最先端ソフトウェアです。NISTの「標準参照データ(Standard Reference Data)」として位置づけられ、147種類の純物質(および空気など5種の擬似純物質)を網羅し、最大20成分までの混合流体にも対応します。密度、エンタルピー、粘度、熱伝導率などの熱物性・輸送物性を、最先端の状態方程式や混合モデルに基づいて算出できることが特長です。
HVAC、天然ガス、化学プロセス、発電、低温工学など、幅広い分野のエンジニアや研究者がREFPROPを活用してシステム設計を最適化し、一貫した物性データを確保しています。Windows向けのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)はもちろん、Excel、Python、MATLAB、LabVIEWなどからもプログラムを通じて利用可能なため、複数のデータソースや大まかな近似式に頼る必要がなくなります。これにより、古い物性表から生じがちな誤差リスクを抑制できる点が大きな利点です。
主なメリット:
- 幅広い流体カバー範囲: 冷媒、工業ガス、炭化水素、低温流体などを包括
- 高精度モデル: マルチパラメータ・ヘルムホルツ式や高度な混合則による厳密な物性予測
- 多様な統合方法: 使いやすいGUIとDLL/共有ライブラリによるプログラム連携
- 産業標準としての評価: NISTが支える信頼性の高さから、学術界や産業界で広く採用
ライセンスはNISTが管理し、Version 10のシングルユーザライセンスは約325ドル、企業全体向けのサイトライセンスも用意されています。定期的なアップデートにより新しい流体や改良モデルが追加され、充実したドキュメントやFAQによりユーザー導入をサポートします。
冷凍空調システムの次世代化や天然ガスの物性評価、新規流体混合物の研究開発など、幅広い場面でNIST REFPROPは正確かつ最新の物性データを提供し、エンジニアリング作業の効率向上や安全マージンの強化、技術分析の信頼度向上を実現します。
2. REFPROPについて
製品概要とバリュープロポジション
NIST REFPROP(Reference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Database)は、米国国立標準技術研究所(NIST)が開発した「標準参照データ」ソフトウェアで、さまざまな流体の熱物性を高精度に提供します。冷媒や天然ガス混合物から工業用化学品、低温流体まで幅広く対応し、実験データと最先端モデルを組み合わせることで極めて正確な物性計算を実現しています。
科学的根拠に基づく高精度: ヘルムホルツエネルギー式や高度な混合モデルによって、実測と誤差の少ない物性値を得られます。設計や運用の誤差リスクを抑制し、コスト削減や安全確保に寄与します。
幅広い適用性: 147種類の純物質と5種の擬似純物質をカバー。最大20成分まで混合可能で、HVAC、低温工学、石油・ガス、発電など多様な産業で利用できます。
統一したデータソース: 複数の資料や近似式を使い分ける必要がなく、NISTが継続的に更新・維持する単一ソフトで高度な設計や研究を行えます。
充実した連携機能: Windows向けGUIだけでなく、ExcelやPython、MATLAB、C/C++などからDLL/共有ライブラリを呼び出すことで、企業内ワークフローにスムーズに組み込めます。
REFPROPを活用することで、設計精度や研究成果の信頼性を高めると同時に、開発コストと時間を削減できます。
製品紹介
REFPROPとは何か
REFPROPは、純物質や混合物について、圧力・温度・エンタルピー・エントロピー・飽和特性などの熱力学的性質に加え、粘度・熱伝導率などの輸送特性を計算する専用プログラムです。NISTが提供する標準参照データの一環として開発・維持されており、ガス・液体・超臨界といった広い範囲の状態を精密にカバーします。
- 熱力学的性質: 圧力、温度、密度、エンタルピー、エントロピー、音速、相平衡など
- 輸送特性: 粘度、熱伝導率、(多くの流体で)表面張力など
- 混合物対応: 20成分までの混合モデルに対応し、複雑なガス・液体混合系を高精度で扱えます
最新版であるVersion 10では、性能や精度の向上に加え、新規流体の追加などが行われ、多様なユーザーのニーズに対応する機能拡充が図られています。
主な特徴と機能
- 包括的な流体ライブラリ: 冷媒、炭化水素、低温流体、工業化学品などを含む147種類の純物質と、空気など5種類の擬似純物質を収録
- 高度な状態方程式: マルチパラメータ型ヘルムホルツ式、Modified Benedict-Webb-Rubin式、拡張対応状態則(ECS)などを利用し、実測に近い精度を実現
- ユーザーフレンドリーなGUI: Windows上で簡単に物性値や相図のプロットが可能、表形式データも出力
- プログラム的な連携: DLL/共有ライブラリを通じ、Excel、Python、MATLAB、LabVIEWなどから呼び出し可能
- 包括的なドキュメントとサポート: 公式ドキュメント、FAQ、サンプルコードにより導入・利用が円滑に進む
導入メリット
- 精度向上・リスク低減: NISTの検証済みデータにより、近似式や複数資料の組み合わせで生じる誤差を回避し、大きな損失や事故リスクを抑制
- 作業効率の向上: Excelマクロやカスタムスクリプトにより、必要な物性値を即座に取得可能。手動のデータ探索や補間作業が不要
- チーム内統一化: 一貫したデータの共有で、部門間の齟齬やバージョン違いによる混乱を防止
- 規格・標準への適合: 国際ガイドライン(IAPWS)や天然ガス関連モデル(GERG等)との整合性が高く、コンプライアンス要件を満たしやすい
- 継続的アップデート: NISTの研究者による改良や新規流体の追加で、最新の業界ニーズに対応
ユースケース
- HVAC&冷凍空調: 新規低GWP冷媒の評価、冷凍サイクル設計、ヒートポンプの効率解析など
- エネルギー・発電: 蒸気タービン、ORC(有機ランキンサイクル)、超臨界CO₂サイクルなどの解析
- 天然ガス&LNG: GERGモデルを活用し、パイプライン設計やLNGプラント、ガス取引での物性計算を支援
- 低温工学・航空宇宙: 液体ヘリウム・水素・酸素などの超低温流体を扱うロケット推進や超伝導技術に有用
- 化学プロセス: 蒸留、分離、反応プロセスの熱力学的解析に信頼性の高い物性データを提供
- 研究開発: 新規混合物の探索、実験データの検証、代替物性式との比較基準として利用可能
FAQ
- Q1. REFPROPが対応している流体はどんなものがありますか?
- A. 冷媒や炭化水素、工業ガス、低温流体など、147種類の純物質と空気など5つの擬似純物質を収録しています。これらに加え、最大20成分までの混合物も扱えます。
- Q2. ライセンス形態はどのようになっていますか?
- A. シングルユーザライセンスと、組織内で複数ユーザが使えるサイトライセンスがあります。さらに、自社製品に組み込んで再配布する場合はディストリビューター契約が必要です。
- Q3. 他のソフトウェアやプラットフォームと連携可能ですか?
- A. はい。Windowsのグラフィカルユーザーインターフェースに加え、DLL/共有ライブラリ経由でExcel、Python、MATLAB、LabVIEW、C/C++など幅広い環境と連携できます。
- Q4. アップデート頻度はどのくらいですか?
- A. メジャーバージョンのリリースは数年おきに行われ、マイナー修正やパッチの公開も不定期で実施されます。新バージョンでは流体数の増加やモデルの改良が行われ、既存ユーザには有料でのアップグレードも用意されています。
- Q5. Windows以外のOSでも使用できますか?
- A. 主にWindows向けに開発されていますが、Version 10ではCMakeを利用したビルドによりmacOSやLinuxでも動作させることが可能です。なお、一部の機能や環境構築に工夫が必要になる場合があります。
ライセンスについて
ライセンス:
シングルユーザライセンス
サイトライセンス: 組織内の多数ユーザ向けに適した契約形態。内部システムへの組込みも可能。
ディストリビューター契約: 自社製品にREFPROPを組み込んで販売する場合に必要。
アップデートとアップグレード
一度購入したバージョンは期限なく利用可能。メジャーバージョンアップ時には有料でのアップグレードが提供されます。
結論
NIST REFPROPの導入は、正確かつ最新の流体物性を得るうえで非常に有効であり、企業や研究機関のエンジニアリングとR&Dの質を飛躍的に向上させる投資といえます。
メーカーの製品サイト
https://www.nist.gov/srd/refprop
【言語】英語
【動作環境】Windows