製品概要・特長

YourKitが提供する2つのプロファイラ製品について。YourKit Java Profiler はJava Virtual Machine (JVM)上で動作するアプリケーション全般を対象としたプロファイリングツールであり、YourKit .NET Profiler はMicrosoft .NET Frameworkおよび.NET（.NET Core/.NET 5+）アプリケーション向けのプロファイリングツールです。いずれも直感的なGUIと充実した機能セットを備え、開発現場から運用現場まで幅広く活用されています。

プロファイラを導入することで、アプリケーション内部の挙動が可視化され、通常のログ出力や単純なパフォーマンスモニタリングでは把握しづらい問題を発見できます。たとえば「ある処理に時間がかかっているが原因のメソッドがわからない」「メモリ使用量が増え続けているがメモリリーク箇所が特定できない」といったケースで、YourKitのプロファイラは非常に有用です。Java VMや.NETランタイムの内部情報を収集・分析し、CPU使用率が高いコードパスやメモリに残っているオブジェクト、ブロック中のスレッドなどを可視化します。

YourKit Java Profiler

主な特長（Java Profiler）

• 低オーバーヘッド・オンデマンド計測: 必要なタイミングだけ詳細計測を行い、平常時はオーバーヘッドを最小限に抑えられます。本番環境にも常駐させやすいアーキテクチャです。
• CPUプロファイリング: メソッド呼び出し単位でCPU消費を分析し、ホットスポットを可視化。コールツリーやフラットビューで、時間を要している箇所を特定できます。
• メモリプロファイリング: ヒープ上のオブジェクト情報を収集し、メモリリークの原因究明やオブジェクト参照関係を可視化。複数スナップショットの比較機能なども備わっています。
• スレッド解析・同期問題の検出: スレッド状態の可視化により、どこでブロックやデッドロックが起きているか把握できます。
• 可視化と分析支援: Flame Graph等の視覚的ツールでボトルネックを直感的に特定可能。メモリやGC、例外発生のモニタリングも行えます。
• IDE統合と操作性: Eclipse、IntelliJ IDEA、NetBeansなど主要IDEと連携し、ワンクリックでプロファイリングを開始できます。
• リモートプロファイリング: ネットワーク経由でリモートサーバ上のJavaプロセスをプロファイル可能です。SSHトンネル自動生成機能などにより設定が容易です。
• 拡張性と連携: コマンドラインインターフェースや公開APIを備え、CI/CDパイプラインでの自動化や独自プラグイン開発にも対応しています。

YourKit .NET Profiler

主な特長（.NET Profiler）

• クロスプラットフォーム対応: 従来のWindows上の.NET Frameworkに加え、.NET Core/.NET 5+やASP.NET Coreなど、LinuxやmacOS上でも動作可能。ARM64にも対応し、クラウド環境やコンテナ上でも利用しやすい設計です。
• CPUプロファイリング: 軽量なサンプリング方式から詳細なトレース方式まで選択可能で、アプリケーションのCPU使用状況を正確に把握できます。
• メモリプロファイリング: ヒープ上のオブジェクト参照を可視化し、メモリ使用パターンやリークの原因追跡が可能。
• データベースクエリ/ウェブリクエスト解析: 遅延しているSQLクエリや重いWebリクエストを洗い出し、アプリのボトルネックだけでなく周辺のデータアクセス層も含めて分析できます。
• スレッド同期問題の検出: スレッドのブロック状態やデッドロックを可視化し、並行処理特有の問題を素早く特定できます。
• リアルタイムモニタリング: CPU、メモリ、GC、スレッド数などのテレメトリをリアルタイムにグラフ表示。負荷テスト時の挙動を継続的に監視できます。
• 例外プロファイリング: 発生頻度の高い例外の箇所を特定し、パフォーマンスへの影響を可視化します。
• 自動検査ルール（インスペクション）: 重複オブジェクト生成や未Disposeリソースなど、よくあるパフォーマンス問題を自動で検出し、改善のヒントを提示します。
• リモートプロファイリング: リモートマシン上のアプリケーションにも簡易設定で接続し、ローカル同様の操作で分析可能。
• 拡張性とCI/CD連携: コマンドラインツールを利用し、CIツールと組み合わせて自動的にスナップショット取得やレポート生成を行うこともできます。

導入のメリット

• 品質向上とシステム安定性: 早期にボトルネックを解消し、本番トラブルが起きた際も迅速に原因を特定・修正できるため、重大障害やダウンタイムを最小限に抑えられます。
• 開発効率・生産性の向上: 自動検出機能や視覚的な分析UIにより、問題分析の手間を大幅に削減。開発者は新機能実装など本来の作業に集中できます。
• コスト削減と高いROI: 適切にアプリを最適化すればサーバー台数やクラウドリソースが節約でき、性能トラブル対応工数の削減も期待できます。
• 包括的な機能セット: CPU、メモリ、スレッド、DBクエリ、例外…単一ツールで広範に可視化・分析を行え、追加ツールの導入・管理コストを抑えられます。
• 柔軟なライセンス体系: 商用利用向けからオープンソース向けの無償提供、アカデミック用途の割引など、幅広い選択肢があります。

ユースケース（利用シーン）

1. 開発段階でのボトルネック早期発見: 結合テストや負荷テスト時にCPU/メモリの無駄を見つけ、リリース前に性能問題を解消。
2. 本番環境でのトラブルシューティング: ライブでデータを取得し、応答遅延やデッドロック、メモリリークなど原因不明の問題を迅速に追跡。
3. リソース最適化とクラウドコスト削減: アプリをチューニングしてサーバー台数を減らしたり、コンテナスケールアウトの頻度を下げたりする事例も多数。
4. CI/CDパイプラインでの性能回帰防止: コマンドライン連携でビルドごとにプロファイル取得し、性能が悪化したコミットを即検知。

よくある質問（FAQ）

Q. プロファイラとは何をするツールですか？

A. プログラムの実行時におけるCPU使用箇所やメモリ使用、スレッドの動きを詳細に計測・可視化し、性能ボトルネックや非効率なコードを特定するためのツールです。

Q. Java版と.NET版は何が違いますか？

A. Java版はJVM上で動作するアプリケーション（Java, Kotlin, Scalaなど）に特化し、.NET版は.NET CLR上のアプリケーション（C#, F#, VB.NETなど）を分析対象とします。UIや基本機能は類似していますが、それぞれのランタイム固有の分析を行うために別製品となっています。

Q. VisualVMやPerfViewなどの無料ツールではダメなのでしょうか？

A. 無料ツールは基本的機能をカバーしますが、YourKitには自動インスペクションや強力な可視化、多彩な連携機能、軽量エージェントによる本番対応など独自の強みがあります。エンタープライズ利用や大規模開発では、総合的な分析力と効率性で優位性が高いといえます。

Q. 本番サーバに導入しても大丈夫ですか？

A. オーバーヘッドの少ないエージェント方式のため、常駐していても通常時の負荷はごく小さいです。必要に応じてオンデマンドで詳細プロファイルを開始・停止できる設計で、本番環境への適用例も多数あります。

Q. 対応環境を教えてください。

A.
- YourKit Java Profiler: Java 6以降のHotSpot系JVM（OpenJDK含む）、Windows/Linux/macOSなど主要OS。
- YourKit .NET Profiler: .NET Framework 4.x、.NET Core 2.0以降、.NET 5+、Windows/Linux/macOS/ARM64など。

Q. ライセンスについて教えてください。評価版はありますか？

A. ライセンスは商用・アカデミック・オープンソース向けなど複数形態が存在します。1年間のアップデート付き永久ライセンスやサブスクリプション、フローティングライセンスなど柔軟に選べます。評価版（トライアル）もダウンロード可能なので、購入前に機能を試せます。