情報のデジタルストレージと配布は将来欠かせないものになるでしょう。 そのため、ベルギー政府はDABS（Databank voor de Akten van BurgerlijkeStand/Databaseof Civil Registry Records）プロジェクトを司法省、 内務省、外務省、市町村および領事館と他の多くの政府部門に協力要請しました。 この協力プロジェクトは、Dienst Administratieve Vereenvoudiging（DAV） またはAdministrative Simplification Serviceによって調整されたイニシアチブです。 ベルギーの内外で市民認証に画期的なiTextDITO®がどのように使用されているかを解説します。
ケーススタディーの背景
DAVまたはAdministrativeSimplification Serviceは、1998年にベルギーで設立されました。 当時企業の管理が複雑だったため、管理に関連するコストを削減するための対策を提案するように指示されました。 2003年には、市民のための簡素化アクションを含むプロジェクトに拡張されました。 DABSまたは市民登録記録のデータベースプロジェクトがその１つです。
DABSプロジェクトは、連邦省、地方自治体、およびITパートナーなどが協力をした巨大なプロジェクトです。
DABSプロジェクトの目的は、すべての市民認証（出生、結婚、死亡、承認、養子縁組、国籍の変更など） を1つの大きなデジタルデータベースに一元化し、最初から最後まで完全に電子化することです。
伝統的にベルギーでは、市民情報は各地方自治体によって保持され、独自のテンプレートを持っていました。 出生証明書などの個人の記録にアクセスするには、その個人の地方自治体へ要求する必要があります。 一方、市民は、証明書のコピーを直接要求するために、出生地に直接行かなくてはいけません。
このシステムはナポレオンの時代から導入されており、現代の世界では管理がかなり複雑になり、 時間が要するものとなりました。 新しい電子システムにより、当局と市民の両方がベルギーの内外の記録に簡単にアクセスできるようになります。
DXC Technologyは、技術的な観点からプロジェクトを立ち上げ、 この時代遅れの方法論に代わるデジタルソリューションを実装する契約を締結しました。 DXCは、PDFテクノロジーに関する専門知識を認識し、 FPS Justiceなどでの過去に手掛けたプロジェクトの実装において信頼できるパートナーであったため、 iTextにアプローチしました。
目標
- 1つの中央データベースに市民の市民国家認証を作成する
- 証明書が作成された場所に関係なく、証明書を引き出せる
- 管理の複雑さと無駄な時間を削減する
- 既存の非デジタルドキュメントワークフローを完全に置き換える
- 必要なすべての言語をサポートする：フランス語、オランダ語、ドイツ語
課題
JustXプロジェクトではDXCは当初、各タイプのドキュメントの要件を処理するためにiText 7Coreを使用してカスタムテンプレートソリューションを開発することを計画し必要なPDFテンプレートのコーディングを開始しました。
ただし、2018年2月の初期開発段階で、開発を支援する他の可能性があるかiTextに確認しました。 これらの議論の中で、iTextは、このプロジェクトが最新のイノベーションのテストケースになることを認識しました。 iTextDITO®は、高品質のPDFを大量生産するiTextの実証済みの機能と、 テンプレートを設計するためのグラフィカルインターフェイスを組み合わせた強力なPDFテンプレートエンジンです。
iText DITOは、開発者と非開発者の両方に、プログラミングなしでPDFを作成するためのテンプレートを設計および保守する方法を提供するために開発されました。 ユーザーはテンプレートを視覚的に設計でき、同じ方法でさまざまなソースからのデータをテンプレートにリンクすることが出来ます。
iTextはDXCと協力して、既存の非デジタルドキュメントワークフローの例から概念実証テンプレートを開発しました。 用意されたテンプレートは好評でした。DXCは、iText DITOの付加価値をすぐに確認し、 計画されたアプローチと比較して大幅な時間の節約になることが証明されました。
テンプレートを視覚的に設計する方がより優れたソリューションであり、 テンプレートのカスタマイズ性を高めることができることは明らかでした。 さらに、エディターでデータバインディング機能を定義する機能も、開発に役立ちました。
次に、iTextは、DXCからのフィードバックから、製品としてのiText DITOの開発に貢献しました。 そしてDXCが開発していたソリューションに必要な機能を実装することができました。 協力することにより、両社はWin-winの関係となりました。
提供される解決策
iTextDITOソリューションがパブリックレコード管理をどのように改善させるか
iText DITOのテンプレートデザイナを使用することにより、各証明書テンプレートを標準化された形式に統合できるようになりました。 これは、印刷版とオンライン版の両方で使用されます。各地方自治体のニーズに合わせて簡単にカスタマイズすることもできます。 たとえば、すべての種類の証明書に独自のロゴを使用できます。スキームには約600の異なる地方自治体が含まれているため、 従来のコーディング方法を使用した場合は複雑な作業になります。
従来のテンプレートソリューションとは異なり、iText DITOを使用すると、法律の変更など、 コンテンツの変更が必要になったときに、テンプレートをすばやく簡単に更新できます。 ハードコーディングされたテンプレートを使用すると、わずかな編集でも再コーディングとテストを実行する必要があり、 貴重な開発時間とリソースが無駄になります。iTextDITOではそういうことは、起こりません。
グラフィカルインターフェイスのおかげで、テンプレートの設計は、広範なトレーニングや技術的な知識を必要とせずに実行できます。 また、ブラウザベースのテクノロジーにより、ソフトウェアをインストールすることなく、事実上すべてのデバイスで使用できます。
地方自治体は独自のITパートナー契約を結んでいる可能性があり、 データをデジタルで入力するための特定のアプリケーションがすでに組み込まれているため、既存のソフトウェアを変更する必要はありませんでした。 代わりに、証明書に必要なデータは、DXCによって開発されたWebサービスを使用して送信されます。 次に、Webサービスはデータを取得し、広く使用されているJSON（JavaScript Object Notation）形式に変換します。 iText DITO SDKはデータを取得して適切なテンプレートに挿入し、必要なPDF証明書を生成します。
※iTextDITOエディターでDABSテンプレートを編集する。
iTextテクノロジーで生成されたすべてのPDFと同様に、それらは標準に準拠しており、互換性が高く、 iTextDITOは最新のPDF2.0仕様をサポートしています。
生成された証明書は、別のシステムに渡りデジタル署名され、複数の政府機関が使用できる法的に認識可能なドキュメントになります。 さらに、ドキュメントの抽出は、iText7のコアライブラリを使用して追加されたQRコードを使用してすばやく簡単に検証できます。
※データベースからの市民情報をテンプレートと組み合わせて、 iText DITOから生成されたPDFの例（一部の詳細は編集されています）。
結果
デジタル市民登録は2019年3月31日から運用されています。 その日から、すべての市民ステータスレコードがデジタルで作成され、DABS中央データベースに記録されます。 これは、ベルギー全土の581の自治体と海外の102の領事館で、紙の証書がついに市民にとって過去のものとなったことを意味します。
※DABSソリューション全体の概要
たとえば、出生証明書や結婚証明書などのドラフト文書では、ペンと紙は不要になりました。 代わりに、自治体とベルギー領事館の両方の公務員が文書にデジタル署名して中央データベースに保存し、 そこから抜粋やコピーに簡単にアクセスできます。
市民は、文書のコピーまたは抜粋を入手するために長い旅をする必要がなくなりました。 地元の住宅当局に行くか、「e-loket」電子ポータルを使用することができます。これにより、時間とコストが大幅に削減されます。 通信とデータ交換の速度が向上したおかげで、法的確実性も高まりました（たとえば、離婚は最大1か月半速く処理できます）。
強制的なデジタル化には、市庁舎や裁判所で何百万もの紙の証書を保管および更新するという不便さを排除するという利点もあります。 紙のアーカイブは、すぐにアクセスできる必要がなくなったため、長期保管できるようになりました。これにより、コストも削減されます。
追加の利点は、民事上の関連する判断が自動的に処理されることです。これにより、自治体の運用コストが削減されます。
連邦政府レベルでは、事務員は判決速報を起草して登記所に送る必要はありません。 これは、証書の複製を更新して保存する必要がないことを意味します。 検察官は、近代的かつ一元化された方法で監督機能を実行することができ、自治体が自らエラーを修正できることにより、 彼らの作業負荷も削減されます。
市民登録をデジタル化するプロジェクトは大成功を収めています。 実際、2019年12月、このプロジェクトは2019年のAgoria e-Gov Award for BestProjectを受賞しました。 また、収益性サブカテゴリで賞の受賞者として選ばれました。
※2019年のベストプロジェクトでアゴリアe-Gov賞を受賞
※DABSプロジェクトの成功のレポートからの事実と数字
移住した875万件の古い証書や、市民、企業、地方自治体、連邦政府の管理費の年間3960万ユーロの節約など、 印象的な数字を考えると不思議ではありません。 新しいシステムの利便性のおかげで、毎年700万枚以上の紙が節約されると推定されているため、環境にも大きなメリットがあります。
iText DITOは、あなたのプロジェクトもサポートすることができます。
iTextDITOがDatabankvan Akten van de Burgerlijke Stand（DABS）プロジェクトの成功例を説明しましたが、 あなたにはどのようなことが出来るでしょうか。
どこにいてもデータを活用する
iText DITO SDKは、入力フォーム、RESTful API、データベース、 またはデータが保存されている場所がどこにあるかにかかわらず、選択したデータソースからの情報を活用できます。
ビジネスユーザーがテンプレートを所有できるようにする
グラフィカルテンプレートデザイナーを使用すると、テンプレートデザインウィザードに慣れるように短時間でトレーニングできます。 高価なプロのデザイナーやソフトウェアに頼る必要はありません。テンプレートは、実際に使用する人が設計および保守できます。
最先端のPDFを大量生産
非常にスケーラブルなテンプレートエンジンであるiTextDITOは、最新のPDF2.0標準とPDF / UA出力をサポートし、 任意の数のテンプレートを設計および展開し、必要な数のPDFを生成するために使用できます。 他の多くのテンプレートソリューションとは異なり、エンタープライズグレードであり、ニーズに合わせて拡張できます。
WYSIWYGテンプレートデザインエディター
iText DITO Editorを使用すると、ユーザーはリッチテキスト、フォーム、サブフォーム要素、テーブル、 画像などを使用してテンプレートを視覚的にデザインできます。 設計するテンプレートには、静的コンテンツと動的コンテンツの両方を含めることができます。 静的コンテンツは、テンプレートに基づいてすべてのドキュメントに印刷されるコンテンツです。 動的コンテンツは可変コンテンツであり、通常、データバインディング、条件ステートメント、または式によって定義されます。
ドキュメント自動化プロジェクトのコストと納期を削減
iText DITOを使用すると、開発チームは開発に集中することができます。 ビジネスユーザーがテンプレートの設計と保守を行えるようにすることで、開発者は、テンプレートのコーディング、 再コーディング、およびテストに時間を使う必要がなくなります。
シンプルで柔軟な展開
iTextDITOの導入は簡単です。ドキュメントを生成するiTextDITO SDKは、Dockerイメージ、ネイティブJava、 またはWindows CLIアプリケーションとして利用できます。任意のソフトウェア環境に実装できます。 iText DITO Editorは、ローカルまたはイントラネット上のブラウザーで実行できるため、ソフトウェアをインストールしなくても、 どこからでもアクセスできます。
複数の言語と複雑な書記体系をサポート
iText DITOのもう1つの利点は、グローバルな言語/合字のサポートをサポートしていることです。 テンプレートは、複雑な書記体系とフォントを使用できるため、正しくレンダリングできる複数の言語で使用出来るように作成ができます。
埋め込まれたテンプレートリソース
テンプレートとそのリソースは、iTextDITOプロジェクトファイルに埋め込まれています。 プロジェクトファイルは、画像、フォント、カスタムスタイルのCSS、テンプレートのデータバインディングを定義するJSONデータ構造ファイルなど、 各テンプレートに必要なすべてのリソースを含むテンプレートパッケージです。 作成できるプロジェクトの数に制限はなく、エクスポートしてローカルまたは共有の場所に保存できます。
コンテンツの可視性とフォーマットのための条件付きロジック
条件に基づいて生成されたドキュメントのセクションを表示または非表示にしたり、条件にテキストの書式を追加したりして、 値に応じてデータバインディングのスタイルを設定することができます。
フィルタリングされたループ
フィルター処理されたループを使用すると、配列内のアイテムのフィルター処理されたサブセットを示す繰り返し行を持つテーブルを作成する簡単なメカニズムがあります。
PDF / UAコンプライアンスアシスタント
ユニバーサルアクセシビリティのPDF標準（PDF / UA）に準拠するPDFを生成するテンプレートの設計に役立つガイド付きエクスペリエンスを提供します。 このようなPDFはサポートテクノロジー向けに最適化されており、情報に幅広くアクセスできるようにPDFドキュメントはPDF / UAに準拠する必要があると規定している米国リハビリテーション法のセクション508などのアクセシビリティ規制に準拠しています。
APIレベルで生成されたPDFのパスワード保護
ユーザーにドキュメントを開くためのパスワードの入力を求めるユーザーパスワード、 ユーザーにドキュメントを操作するためのパスワードの入力を求める所有者パスワード、またはその両方を設定できます。 保護レベルは、PDFプロデューサー操作の暗号化プロパティを介して設定できます。
バーコード生成ウィザード
JSONペイロードに含まれる入力データから2次元と3次元の両方のバーコードを生成できます。 ウィザードは、スキャン可能なバーコードをテンプレートに挿入するための3つのステップで構成されています。
